令和2年3月4日岡山県議会2月定例会一般質問

【質問】

 自由民主党の田野孝明でございます。

 初登壇の昨年6月議会から9か月がたち,2回目の質問になります。本日も,コロナウイルス感染防止が叫ばれる中,遠路はるばる傍聴にお越しいただき,誠にありがとうございます。

 早速,通告に従い,質問に入らせていただきます。

 毎年,日本各地で自然災害が発生しており,昨年9月から10月にかけて首都圏を直撃し,記録的な大雨となった台風が記憶に新しいところでございます。台風による災害は,毎年発生しておりまして,他県で発生したものであっても,我が事として捉え,次の出水期に向けて日頃からどのように備えておかなければならないのか,どのような対策ができるのかを考えていかなければなりません。

 9月9日に台風第15号が千葉市付近に上陸いたしました。この台風が通過したコースは,三浦半島を通過し,東京湾の内側から外側へ抜けるもので,非常に強い勢力を保ったままで関東に近づいていくという,過去にはあまり例のないものでありました。50年に一度と言われる暴風が吹き荒れ,千葉県や神奈川県を中心に1,000本以上の電柱が損壊するなど,ひととき93万戸近くが停電をいたしました。中には,木が倒れかかったことが原因で電力の復旧に1週間もかかったところがありました。岡山県の北東部,津山市勝北,奈義町,そして私の地元であります勝央町では,広戸風が吹きます。風害への対策はなかなか難しいものがありますが,どのような備えをすれば被害を減らすことができるのか,改めて考えさせられました。

 また,10月12日,記録的な大雨となった台風第19号では,千曲川や多摩川などが氾濫し,全国71の河川で100か所以上の堤防が決壊いたしました。一昨年,岡山は,豪雨災害を経験し,水害の恐ろしさは県民誰もがよく理解していると思います。今回の台風第19号による被害の原因を京都大などのチームが日本気象学会の論文に発表したことで,昨日山陽新聞に出ておりました。十分な対策を行うことの重要性を改めて認識させられました。

 そこで,お伺いいたします。

 一昨年7月の西日本豪雨,昨年の台風19号のような災害が発生した場合に,岡山県内の被害を最小限にとどめることに関して,県民の期待は非常に大きいものがあります。水害への備えとして,県では,豪雨災害によって決壊した河川や被災したところの改良復旧工事等に取り組んでおられるところで,当然これも非常に重要なものです。こうした工事を進めていくとともに,定期的に河川の堤防を確認し,壊れているところは速やかに修繕するなど,日常的な取組によって安全性を保つことも,県民の期待に応えるものだと思います。また,河川に堆積している土砂をしゅんせつして,十分に流下能力を確保しておくことも,同じく県民の期待に応えるものです。来年度予算案では,新ふるさとの川リフレッシュ事業が大幅に増額されており,こうしたものをしっかり進めていただき,まずは次の出水期に向けて,水害に十分な備えをしていただきたいと思いますが,土木部長の御所見をお願いいたします。

 次に,11月議会でも先輩議員諸氏が質問されましたが,自衛隊との連携についてお伺いいたします。

 昨年12月4日,アフガニスタン東部で,農業支援などに取り組んでいた中村哲医師が乗った車が銃撃され,ボディーガードを含む6人が亡くなりました。心から御冥福をお祈り申し上げますとともに,この理不尽に人の命を奪う行為に憤りを感じた次第でございます。日本国内の平和という点におきましては,改めて十分に保たれていることに関係の方々に深く感謝するものでございます。平和は,ただ単に待っていても訪れるものではなく,抑止力としての自衛隊の方々の日々の訓練に思いを致し,ふだんから緊急事態に備えておくことは,大変大切なことだと考えております。今回のような新型肺炎の危険性がある中で,別の災害が発生した場合の対処などを想定してみると,安閑としてはおられません。

 昨年,岡山県防衛議員連盟で福岡県庁をお訪ねしました。福岡県では,知事と自衛隊,警察,消防等の方々とのトップ会談を設けておられまして,様々な訓練を実施していました。伊原木知事には,初当選されて間もなく,日本原駐屯地にお越しいただき,感謝申し上げます。一昨年の豪雨災害での自衛隊の方々の御尽力に対しまして,改めて自衛隊の大切さを認識いたしました。11月議会での小林孝一郎議員のトップ会議を開催してはどうかとの一般質問に対しまして,知事は,関係者が一堂に会する岡山県防災会議を毎年度開催しているとお答えになりましたが,私としては,1対1での会談を行って,今よりも一層緊密な関係を築けないものかと思っておりますので,ぜひ御検討いただければと思います。また,自衛隊の方々への感謝の思いは言い尽くせないとの御答弁もありました。その思いを胸に,改めて日本原駐屯地に足をお運びいただけないかと願うものであります。自衛隊員の士気も大いに上がることは,間違いありません。知事の御所見をお伺いいたします。

 次に,いじめの問題についてお伺いいたします。

 神戸の小学校で教師によるいじめの調査結果が2月21日に発表され,改めて驚きました。「いじめは駄目だ」と子供たちに教え,正しい道へと導かなければならない教師が子供たちの目の前でもいじめを行っていたとは,言語道断の話であります。そうした場面を見た子供たちが,いじめを行うことに対する罪悪感を失ってしまったり,相手の立場に立って考えられないなど,子供たちの健全な心の育成に悪影響がないように願ってやみません。

 昨年10月,文部科学省から「平成30年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査結果」が発表されました。全国の国公立,私立小中学校と高等学校,特別支援学校における昨年度のいじめの認知件数は,54万3,993件で過去最多だったとのことでありました。認知件数のうち,いじめ防止対策推進法に規定する,骨折など心身に大きな被害を受けた重大事態の発生件数は,602件で前年度の約1.3倍になっています。文部科学省の担当者は,認知件数が大幅に増えた要因について,「いじめを広く定義した平成25年施行のいじめ防止対策推進法を踏まえ,積極的な認知を求めてきたことが大きい」と説明し,問題解決の第一歩として肯定的に捉えているようですが,実際のところはどうなのでしょう。

 そこでまず,岡山県内の小中高でのいじめの状況と増減の原因について,教育長の御所見をお伺いいたします。

 また,国公私立小中学校で年間30日以上の不登校となったものが16万4,528件,そのうちいじめが原因となったものは1,037件,国公私立の高等学校では全体で5万2,723件,いじめが原因となったものは208件とのことです。また学校から報告があった児童生徒の自殺者は332人,前年度から82人増え,うち9人はいじめの問題があったとのことです。332人のうち,小学生は5人,中学生は100人,高校生は227人で,中学生は昨年より16人増え,高校生は昨年より67人増えています。この調査によって,どこまで正確に児童生徒の状況を把握できているのかという問題はあると思いますが,いずれにしましても,いじめが原因となって不登校になることや,自らの命を絶つといったことはあってはなりません。いじめを原因とした不登校や自殺はもちろんのこと,いじめそのものを根絶することについて,教育長の強い決意をお聞かせください。

 次に,情操教育についてお伺いいたします。

 教科等の年間授業時数につきましては,教育活動が年間35週以上にわたって行われることを前提にしており,1週間に1時間の授業が行われるとすれば,年間35時間ということになります。そうした中で,小学校高学年の音楽,図画工作の授業は,18年前は70時間あったものが現在50時間に減っております。体育の授業に関しては,105時間から90時間になっており,これもまた授業時間が減っている状況にあります。

 以前,音楽の先生にお話をお伺いいたしました。小学校の情操教育は重要だという認識を忘れてはいけないのではないでしょうかと疑問を呈しておられました。その先生がおっしゃるには,子守歌を歌っている児童は1割だそうです。今どきのお母さんは子守歌を歌っていないことが原因であり,一方,子供にはスマホを与えているので,保育園児からスマホがいじれる,これでいいのでしょうか。家庭も学校も余裕がなくなってきている。いま一度心を育てる教育にも挑戦してほしいといった,その先生が日頃考えておられる音楽教育の重要性に対する様々な思いをお聞きして,改めて学校での情操教育の時間について考え直してみました。

 教育県岡山の復活は,大変重要なことであり,新晴れの国生き活きプランでは,学力向上プログラム,徳育推進プログラム,グローバル人材育成プログラムの3プログラムを掲げて,様々な取組を行ってきております。徳育推進プログラムでは,重点施策として,道徳教育の充実による規範意識の確立が挙げられており,「子供たちの規範意識や人間関係構築力,自尊意識を高め,豊かな情操を育むため,学校教育全体を通じて様々な体験活動等を交えながら,道徳教育の充実を図る」という内容が記載されております。私は,音楽,図画工作,体育の授業を通じて,この生き活きプランに掲げられた徳育推進プログラムの重点施策がより一層進められるのではないかと思っています。持って生まれた個性を発揮し,クラスメートたちと一緒になって一つの作品を創り上げること,物事をよく観察して表現すること,クラスやチームで一丸となってスポーツなどに取り組むこと,それぞれが豊かな情操を育むことに効果があると思います。

 先日,2月15日に津山では,今年31回目を迎えた幼児音楽祭がありました。それはそれは見事な発表会となりました。一生懸命練習した幼児たち,その子供たちを指導した先生や保母さんたちにとりまして,その経験は後々に大きな意味を持つものと思いました。

 昨年,成功裏に終わりましたラグビーワールドカップ2019年の効果もあり,にわかラグビーファンが増えました。私もその一人ですが,「One for all,All for one」とは,「一人はみんなのために,みんなは一つの目的のために」という意味であります。音楽,図画工作,体育の授業を通じ,昨年の流行語大賞にもなったワンチームの精神を子供たちが学び,学校生活の中で豊かな情操を育んでいくことは,極めて重要なことだと思います。音楽等の授業を通じた情操教育について,教育長の御所見をお願いいたします。

 次に,鳥獣被害について質問をいたします。

 昨今,勝田郡奈義町ではカラスが異常に増えております。群れをなして朝,夕,電線にとまっているカラスは,景色を真っ黒にしてしまっていて異様です。飛んでいるときも空が黒く見えるぐらいです。地域では,和牛の肥育農家が大切に育ててきた出荷前の牛が死んでしまうという被害が出ました。牛の餌を入れているところを飼槽と言いますが,牛の餌をカラスが食べて,そのときその飼槽の中でふんをして,牛は餌と一緒にそのふんを食べてしまう,そのふんが牛にとってよくないわけであります。かつてはぱんぱんに張ったホルスタインの乳房に浮き出た血管をつつき,出血をさせたために死亡したり,病気になるなどの被害がありました。また,子牛の目をつついたりという被害も出ています。黒大豆,野菜などの農産物新芽の食害も発生しております。カラスから農産物を守るために農業者が自ら取り組むことのできる効果的な対策として,田畑を防鳥ネットで覆うなどの対策もあるようですが,経費のこともあり,農業者が取り組むのは,大変なことだと思います。日本に生息している主なカラスは,くちばしの形によってハシブトガラスとハシボソガラスに分けられます。ハシブトガラスは肉類を好み,ハシボソガラスは植物を好むそうですが,巣がどこにあるかはまだ分かっておりません。以前はおりによって駆除を進めていこうとしていたようですが,現実に大量に生息しているカラスを見ると,今はうまく運用できていないように感じております。いろいろと努力はしているようですが,農畜産業を守るために必要な駆除ができているのかというと,程遠いのが現状であります。

 そこで,農畜産物をカラスの被害から守るために,被害対策の専門家の現地派遣をし,生息に関する実態調査を行った上で,市町村とも連携をした広域的な対策をお願いしたいと思いますが,いかがでしょうか,農林水産部長にお伺いいたします。

 最後に,酪農についてお伺いいたします。

 日米貿易協定が1月1日に発効されました。畜産,酪農対策については,関税の削減によって外国産の牛肉などが増加すれば,畜産・酪農農家には大きな痛手になりかねません。さらに追い打ちをかけるように,今回の新型コロナウイルスの感染拡大防止策により,各種イベントの自粛,全国小中高の臨時休校の方針により学校給食の停止などで消費が減っております。現に,出荷価格が下落しており,深刻な状況にあります。国の肉用牛肥育経営安定交付金制度である,いわゆる牛マルキンによる肉用牛経営の安定を図る対策については,畜産農家の皆さん方の経営の大きな助けになるものです。それぞれの農家では,餌の工夫による品質の良い肉の提供のために涙ぐましい努力をされておられますので,県におかれましても,引き続き経営安定に対する支援をお願いいたします。また,何より県内で生産された牛肉や豚肉,牛乳などを県民の皆様方に消費していただくことが,大変大事なことですので,消費拡大のために積極的な取組をよろしくお願い申し上げます。

 酪農に関しては,搾乳などの重労働を毎日行っており,また生き物相手のため,十分な乳量になっているのか,乳質が悪くなっていないのか,牛が病気になっていないのかなど,片時も気の休まることはありません。そうしたことが背景にあるためなのか,酪農家は後継ぎが見つからず,高齢化が進んでおり,後継者の確保や育成が大きな課題です。自分の子供が後を継いでくれなかったり,自分が使っていた施設を引き続き使ってくれる第三者が簡単には見つからないので,何百万円もかけて施設を処分しているのが現状です。この酪農家の第三者への継承について,現在どのような取組を行っているのか,また取組を行った結果としてどのような成果があったのか,農林水産部長にお伺いいたします。

 また,やむを得ず廃業してしまった酪農家の施設にはまだ使えるものがあります。規模を拡大しようとしているところや新たに酪農に取り組もうとしている方々に,そうした施設を融通するような取組はできないのでしょうか,農林水産部長の御所見をお伺いいたします。

 以上,よろしくお願いいたします。


~ 答弁 ~


丁寧な御答弁ありがとうございました。

 治山治水は,継続して行われていかなければならないということなので,次の出水期に向けて何とぞよろしくお願い申し上げます。

 県北の川の状況は,しゅんせつしなければ,いつ真備町のようなことが起こるかもしれないという状況が多々あります。ぜひ皆様方,どうぞよろしくお願い申し上げます。

 前回,不覚にもインフルエンザになり,質問ができなかったので,今回ちょっと時期を逸した質問もございましたけれども,安全・安心の岡山県のためにも,あえて質問いたしました。コロナウイルスは経済的にも深刻さを増しております。ぜひ県北の生活にも光を当てていただきますよう,よろしくお願い申し上げます。要望です。ありがとうございました。



田野たかあき

希望ある ふるさとに 田野たかあきの熱い想い 《虚心坦懐》 「見ます・聞きます・伝えます」